2014-04-27

サブカルから肉弾三勇士へ

 4月25日(金)の「近松の会」(発表者:川下俊文氏)で考えたこと。

 人形入りで演じられず、主に素人に語られる義太夫節作品をどう位置づけるか。これは同人誌作品的存在と捉えることができるのではないか。義太夫節作品の中で、古典作品がメインカルチャー・ハイカルチャーを形成していて、それに対するサブカルチャーとして生じてくる作品。

 時局ものは際物だから、同人誌作品的サブカルチャーの立ち位置で作られ始めるのは自然。発表者が指摘していた通り初期の時局ものにパロディとおぼしき作品が目立つのは、それゆえ。

 そうした作品が社会的・政治的にウケるとなると、プロも手がけるようになる。時局の進行もあり、サブカルからハイカルに昇格して、肉弾三勇士に至る。

 発表者の関心は時代思潮と文化というところにあるそうで、その視点からはこんなふうに流れを捉えることができるのではないか。

 以上、飲み会で投げかけてみたかったのですが、体調不良で参加できず残念。
 代わりにここにメモしておきます。

2014-04-21

組踊「大川敵討」

2014年4月20日(日)国立小劇場にて観劇。

国立劇場おきなわ開場十周年記念公演

 2月に沖縄で「大川敵討」を上演しており、ほぼ同じ配役での東京公演となる。 
 字幕付きの上演。

以下、パンフレットより。

・宮城能鳳「監修のことば」
 現在上演されている組踊のなかでは長編の傑作。
 台詞の唱え(「吟使い(じんじけー)」)、立ち居振る舞い、間に特色がある。

・大城學「琉球の芸能について-組踊を中心に-」
 冊封使接待のため踊奉行をもうけて対応
 1719年尚敬王の柵封儀礼の際に組踊を披露
 玉城朝薫(1684-1734)「朝薫の五番」
  「執心鐘入」「二童敵討」「銘苅子」「女物狂」「孝行の巻」
 朝薫の三男朝喜(1714-66)、田里朝直(1703-73)
 1834冊封使は組踊17番鑑賞の記録あり

 台本 琉球王国時代に仕立てられた七十数演目
 テーマ 儒教道徳の徳目である「忠」「孝」が中心
      これに王府が介入することが強調

・崎原綾乃「演目解説」
 「かぎやで風(かじゃでぃふう)」
  老人踊。琉球王府時代から、芸能公演の最初の演目としてよく踊られる。祝儀舞踊。
 「大川敵討(おおかわてぃちうち)」
  久手堅親雲上(くでけんべーちん)作とされる。確認できる最古の上演は1800年、尚温王の柵封使のために準備。
  
以下、演出メモ。

 すり足、能の構え。能より棒立ちの姿勢。
 歌、台詞に独特の抑揚。
 小道具は不要になると放り出し、黒衣役が回収。場面が変わる。
 立ちまわりは歌舞伎風。

 言葉は琉球語・本土語が混じる。

 「義理の道」が強調される。姑への孝。主への忠。
 子より姑が優先される。

 物語内容に比して上演時間が長い。


以下、つらつらと。

 冊封使の観覧に供するためにこのような作品が作られるというのが面白い。冊封使に琉球の言葉はどのくらい理解されたのか、「義理」が強調されるは双方共有の価値観なのか、冊封使向けにバイアがかかっているのか。

 冊封使接待のための踊奉行は日本や朝鮮、中国の芸能をどの程度知っていたのか。歌舞伎、舞踊、能などの影響をどの程度受けているのか。

 物語の展開を考えると、ストレートプレイなら90分で上演できそう。そこを正味2時間半かけて見せていきます。その2時間半が決して長く感じられません。ストーリーでなく歌・音楽・台詞の調子などの「表現」の面白さを楽しませることに成功している舞台です。
 逆に、確固たる様式を持たない現代演劇は意味内容を詰め込まないと時間が持たないと言えるのかもしれません。